“デザイナー×包装設計士”、異色のユニット

見た目はほのぼの、実は仕事人

三原さんの電話で「カミシマイ研究室」の立ち上げを知ったよしこ。ぜひ、話が聞きたいと二人のもとを訪れた。お揃いの“デニムつなぎ”で姿を現した三原さんと鈴木さんを前に、「一体、これから何が始まるの?」とワクワクな気持ちがあふれ出す。記念すべき第一回「パッケージ放談」では、二人の出会いやカミシマイ研究室」の具体的な活動内容などを紹介。根掘り葉掘り、よしこが聞いた話をお届けする。

まずはお二人の出会いから教えてください。

たしか2010年の夏頃。ランデザインの浪本さんが立ち上げたものづくり勉強会チーム「扇町マテリアル会議」のワークショップに誘われ、鈴木さんの会社である中野木型製作所に行ったのが、最初の出会いだったと思います。

懐かしい。もう10年前になるんですね。ちなみに、三原さんにとって初めての工場見学がうちですか。

いえいえ、印刷立ち合いで、印刷会社さんに行ったことはありました。あと、Twitterで知り合った貼り箱屋さんにも行くなど、デザイナー仲間を引き連れ、ちょこちょこ工場見学には行ってましたね。ですが、木型屋さんの訪問は、鈴木さんのところがはじめて。多分、今でも木型の制作工程を知るデザイナーは少ないと思います。例えば加飾加工や抜き加工など印刷のその先まで踏み込むことって、ほぼないですからね。

そんなお二人がどのようにして、仲を深めていったのですか。

「印刷EXPO(※)」ですよね。私たち製造業の個性を引き出してもらおうと、三原さんにディレクションをお願いしました。ですが、当初は三原さんのアイデアに着いていけず・・・。製造業にはない発想に、圧倒されたことを今も鮮明に覚えています。(※印刷周辺の企業とデザイナーがタッグを組んで作品発表を行うイベント。2011~2014年の計4回開催)

たしかに皆さん、ビックリされてましたね。特に2012年「きもだめし」のときのアイデア段階では「全く想像できない。感覚が分からない」とも、言われました。

私もあのとき、「何が作られるんだろう」と思いながら制作に取り組んでいました。だけど当日を迎えてビックリ。「なるほど!こういう意図があったんだ」と、毎回思うんです。三原さんを筆頭にデザイナーさんたちのクリエイティブさには、いつも驚かされてばかりでした。

そこからパケクション!※でもお世話になったりと、徐々に絡む頻度が増えていったんですよね。(※関西を中心に活動するパッケージデザイナー集団)

“三原ワールド”にどんどん引き込まれたというか・・・

仕事で関わることも増え、新しい形状を作るときは、ほぼ鈴木さんにお願いしています。「最強のパートナー」に出会えたと思っていますよ。

私もこの10年で、デザインへの考えが大きく変わりました。印刷EXPOやパケクション!初期の頃は、言われたことを忠実にやる感じだったんですが、今ではデザイナーさんたちの意図が何となく分かるというか。無意識のうちに、寄り添いながらモノ作りに取り組めています。
 

そんな“最強の二人”による「カミシマイ研究室」・・・。具体的にどんなことをするのでしょうか。

メインは、「商品開発」。2ヶ月に1回のペースで、発表するつもりです。実は、サイト開設と同じタイミングで、第一弾商品「ピンマーク」の発表も予定しています。温存中のアイテムもいくつかあるので、制作プロセスも含め、お伝えしたいですね。

「ピンマーク」って段ボールの識別表示に使う道具ですよね。それがなぜ、商品化に?

工場見学に来るデザイナーさんたちに好評で。「これ、めっちゃ可愛いですね」と、何度も言われるので、商品化しちゃいました。持ち手部分は、木型を作るときに発生する端材を再利用しています。

箱の内側あたりに、さりげなく「THANK YOU!」とか入っていたら、可愛いですよね。印刷代もいらないし。ところでこれって、“革製品”とかにも使えるかな?

できますよ!

キーホルダーとかに応用できたら可愛いかもですね。クッキーに押すとか。

こんな様子で商品開発が進んでいくんですね。

「カミシマイ研究室」自体、こういう普段の会話をヒントに生まれました。打ち合わせがてらのランチでも、「こんなアイテム作れないかな~」とか「それだったら、段ボールでこう作ってみれば?」みたいな話が常で。

そうそう、「いつか、共同開発したいですね」なんて言いながらも、いかんせんお互い本当に忙しくって。そんな昨年4月、鈴木さんから「新規事業の件で相談に乗ってほしい」との連絡をいただきました。コロナ禍で時間的余裕も生まれ、今ならできるかもと思い、行動に移そうと決めました。

今まで練ってきたアイデアが、いよいよ形になる!と思うと、なんだか嬉しい気持ちになりましたね。ただ、単発ではもったいない。何か継続的な活動ができればと考えるなか、ユニット結成に至ったんです。

ユニット名もちゃんと考えようとなり、同い年かつ、同じ名前の二人の“みなこ”が、紙をメインに活動するということで、「カミシマイ」としました。商品開発以外にも、いくつかのコンテンツを用意し、ゆるくても良いから常に発信し続けていこうと思っています。例えば、商品開発でお世話になる協力会社さんの工場の様子や、開発途中の失敗エピソード、アイデアの元ネタなどとか。最終的には、「カミシマイ研究室」からヒット商品が生まれればなんてことも、思い描いています。

ゆるいんですけど、モノ作りに対しては本気!私も三原さんも、この道30年のベテラン組です。今まで培ってきた経験を生かしたアイテムを作りたいと思っています。

日常生活から拾いあげた、色んな気づきを商品開発に生かし、「生活者視点」で世の中に役立つモノを発信したいですね。もちろん、カミシマイへのお仕事の発注もお待ちしています!(笑)

最後に一つ!「カミシマイ研究室」には、私(よしこ)のほか、“あんころ”や“ライガー”といった謎の登場キャラクターがいます。この人たちって、一体、誰なんでしょうか。

あんころちゃんはアシスタントさんで、段神ライガーさんは、合紙屋の社長です。二人ともキャラが際立っているというか・・・。これからも、頻繁に登場する人たちなので、キャラクター化してみました。

少しずつですが、登場キャラクターを増やすつもりです(笑)。色んな人を巻き込み、を盛り上げていこうと思います。

いよいよ始動した「カミシマイ研究室」。この記事を見るあなたのところにも、カミシマイの二人から声がかかるかも!? 今後の活動に、乞うご期待。

新商品を開発中だけどパッケージの依頼はどうしたらいいのかな?
自社の商材や加工を活かして何かコラボできないかな…
マーケティング視点を取り入れたデザインにしていきたい…